『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』あらすじと感想。ついに未来がやってきた【ネタバレあり】
Netflixにて絶賛配信中の『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』見ました。
最高に面白かったです。2020年代を代表する映画作品になることは間違いないでしょう。
悲恋ではないゲイ・レズビアンのロマンティック・コメディです。
『恋人たちの予感(1989)』『I.Q. 星に想いを(1994)』『恋愛小説家(1997)』『メリーに首ったけ(1998)』『ユー・ガット・メール(1998)』...ロマコメ映画の傑作を見た後に感じる、笑ったり嬉しかったり悲しかったり切なかったりした後のあの、「あーいい映画見たな」という気持ちにさせてくれる作品です。
『ブレックファスト・クラブ(1985)』の系譜も感じました。
すごく面白い現代のロマコメ・青春映画でした。
あらすじ
エリー・チューはアメリカの田舎町に暮らす中国系移民。
哲学や文学、芸術に造詣の深い彼女は、クラスメートのレポート代行業でお金を稼いでいた。
彼女の聡明さを知る教師から町を出て都市部の大学へ進学するよう勧められるも本人にその気はない。
エリ―の周りには彼女と同じように哲学や芸術を愛する友達はいないが、別にそのままでいいと思っていたからだ。
引きこもり状態の父がいることも地元の大学を選ぶ理由の一つだった。
ある日、アメフト部のポール・マンスキーに、学校のマドンナであるアスター・フローレスへのラブレターを代筆してほしいと頼まれる。
アスターは美人で、町で一番お金持ちの家の息子トリッグと付き合っている。
典型的な人気者(ナルシスト風味)のトリッグとは違い、彼女は内向的な性格で読書や芸術を愛していた。
ポールの申し出を断っていたエリ―だが、電気代の滞納が発覚し、50ドルでラブレターの代筆を請け負うことになる。
登場人物
エリ―・チュー
17歳。主人公。
13歳のとき母が死んでから、一日2回電車が通る町の駅長をしている父の仕事を代わりに行っている。
電話ボックスのような小さな箱の中に座って、早朝と深夜、スイッチを操作する。
父はいつもテレビを見ている。エリーが見えていないみたいに。
哲学・文学・芸術を好む優秀な学生。ドライな性格をしている。
ポール・マンスキー
17歳。アメフト部に所属している。
学校一の美人アスターのことが好き。エリーにラブレターの代筆を依頼する。
家はタコス屋さん。本人もタコスが大好きで、独自の味を研究してエリー親子に食べてもらったりする。
どちらかというと単純な性格で、エリーとアスターの手紙やチャットのやりとりにはついていけない。
すごくいいやつ。
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=ALAewF-Qfso)
17歳。学校で一番の美人。町で一番のお金持ち、学校で一番の人気者と付き合っている。
将来は彼と結婚して幸せになるのだと思われている。
エリーが書いたポールからのラブレターを無視することができず、返事を書いた。
久しぶりに面白い映画を見たぞ
私が見逃しているだけで面白い映画はたくさん制作・公開されていると思うのですが、ひさっびさに『うわー好き!!』となる映画に出会いました。
エリ―はアスターと手紙やメッセージでやり取りを始めるのですが、二人は完全に相性がいいのです。
メッセージを通してエリーとアスターは惹かれ合います。
しかし、アスターはエリーからの手紙を全てポールからの手紙だと思っているので、初めての対面デートをしたアスターとポールは上手くいってしまうんですよね。
ポールとエリーの友情
エリーの方は行動を起こす気がありませんが、エリーとポールは二人ともアスターに惹かれています。
50ドルのラブレター代行から、ポールの恋路に足をつっこんでしまったエリーはいつしかこの恋を上手くいかせたいという気持ちになるんですね。
それがポールとアスターとの間にあるものなのかそれともメッセージを送る自分とアスターの間にあるものなのか、よく分からないまま。
一方で、アスターからの返事に一喜一憂したり彼女の魅力を語り合ったり、会話の練習としてお互いのことを話していくうちに、ポールとエリーの間には友情が芽生えます。
この作品の中で泣きたくなるくらい覚えがあったのは、
自分を信頼して好きでいてくれる人がいて、自分もまたその相手のことを信頼し尊敬し、好きでいるときの気持ちです。
それって友情でも恋愛でも親子愛でもなんでもよくて、ただ人間同士ならどんな間柄でも成立しうるものなんだということを、この映画をみてしみじみ感じました。
言葉にできないものを表現できるのが映画なんだ、物語なんだと改めて感じました。
この作品を世に送り出してくれたアリー・ウー監督、俳優、制作、関係者の方々に心からの敬意と感謝を伝えたいです。
ハーフオブイット、面白かったです。ぜひ見てみてください。
『プライベート・ライアン』あらすじと感想。映画によって初めて知ること【ネタバレあり】
こんばんは、カミオモト(@eigagel)です。
ある方のツイートで知った俳優コリン・ファースのコメントがすごくよかったので紹介します。
英国王のスピーチでアカデミー受賞した時の、コリン・ファースの「映画は考えを押し付けるものでもメッセージを伝えるものでもない」って言葉に凄く救われたんだ私は
— りこ(Riko) (@rikoing) 2020年3月21日
感動させたいとか、泣ける映画って言葉、凄く息が詰まるの…ああ、こんな風に観客に対して思ってくれてる俳優さんもいるんだなぁって pic.twitter.com/yoC7GQvof7
以下動画内全文
(『英国王のスピーチ』 のアカデミー賞主演男優賞受賞についてのインタビュー)
Q. この映画が観客に伝えるメッセージとは?
特にないと思います。
私たちは伝道師でも哲学者でもありません。
私自身は遠慮なく物を言う人間ですが、映画は考えを押し付けるものではありません。
人びとの感じ方はそれぞれです。
この映画に対する反応を聞くのはとても嬉しいですが...
言語聴覚士や話すことに困難を抱えている人々からも、映画を見た感想を聞きました。
とても励みになり力が湧いてきます。
映画はとるにたらないものだと思われがちですが、時にはとても重要な役割を果たします。
映画を通じて、人々は、初めて何かを知ることがあります。
映画の価値はそこにあると思っています。
映画はメッセージを伝えるのではなく
何かに光を与えるのです。
今回紹介する映画『プライベート・ライアン』はまさにそういう映画でした。
今の自分たちには知り得ない戦場について、この映画は光をあてます。
あらすじ
トム・ハンクス演じるミラー大尉は、ある兵卒ライアン(マット・デイモン)を本国へ帰還させるよう命令を受ける。
ライアンは4人兄弟の末弟だったが、ノルマンディー上陸作戦により兄3人が戦死した。そのことを知ったアメリカ陸軍参謀総長が、ライアンだけは死なせずに母親の下へ帰すよう命令したのだった。
ミラー大尉は6名の部下とライアンを探すため戦場に繰り出す。
ライアンを探す途中、戦地となっていたフランスの村民から子どもの保護を頼まれる。
ナチスと連合国軍(アメリカ、イギリス兵)が行く先々で戦闘を行う中、子どもを預かることはできない。しかし、子どももその家族も爆破されたがれきの中で、生き延びられる保証はない。
部下のカパーゾがミラー大尉の命令に逆らって、泣き叫ぶ子どもを預かろうとする。
現場が混乱するなか、ナチスの狙撃兵によってカパーゾが撃たれ...
どうしてライアンを救いに行くんだ?
カパーゾが撃たれたように、映画の冒頭で映し出されるノルマンディー上陸作戦では多くのアメリカ兵が死傷しています。
帰郷を願う家族がいるのは、ライアンだけではないのです。
敵兵と闘うのではなく、ライアンを助けるという任務のために、ミラー大尉の部下は命を落としていきます。
戦場の映像
プライベート・ライアンの冒頭では、胴や足を失った兵士や、頭を打ちぬかれて死んだ兵士が克明に描かれています。
冒頭の映像によってその後のストーリーには常に緊迫感が伴うというだけではなく、銃やバズーカで撃たれたらああなるんだということが分かります。
誇張せずにそのままを映せばあの惨状になるんだと思います。
この映画を見なければ、それは想像でしか知らなったことでした。
ゴールデンカムイのような(金カムは傑作漫画です)アニメや漫画で慣れているような気がしますが、生身の人間で見る大ケガって本当に痛そうです。
これを自分の身に受けた人がいると思うと何も言えない気持ちになります。
Earn it. Earn this.
ミラー大尉が死ぬ間際にライアンへ伝える言葉です。
『俺たちの命に値するように生きろ。俺たちの行いを受け取って生きろ』
アメリカの人だけではなく、日本のこと、日本にいる家族、日本の未来を思って戦った人はきっと数多く存在しています。
死にたくない中で、どうしても死なないといけないのなら、誰かのためになればいいと思って死んだ人がいると思います。
そういった人の行いの上で生きているということを忘れずに生きないといけないですね。
素晴らしい映画でした。
ぜひ見てみてください。
『奇蹟がくれた数式』あらすじと感想。天才と超天才のコミュニケーション【ネタバレあり】
インドの天才的な数学者シュリニヴァーサ・アイヤンガー・ラマヌジャンの伝記映画『奇蹟がくれた数式』見ました~。
時々こういう作品を観るといいですね
心の栄養みたいなものが回復します。
あらすじ
シュリニヴァーサ・アイヤンガー・ラマヌジャンはインドの極貧家庭に生まれた。
ある数学の参考書に出会い、彼は数学に没頭するようになる。
専門的な教育を受けることはできなかったが、彼は独自に数々の公式を生み出していった。
あるとき、理解ある上司の勧めによりイギリスの数学教授へラマヌジャンの研究成果を郵便で送付した。
ほとんどの教授からは無視されたが、唯一ケンブリッジ大学のゴッドフレイ・ハロルド・ハーディは、ラマヌジャンの研究の異様さに気づく。
インドの田舎の事務員が自分と同じ研究成果を挙げていることに驚愕した彼は、ケンブリッジ大学へラマヌジャンを呼び寄せることにした...
超天才×天才の特殊な友情
極めて特異なラマヌジャンの才能を、極めて優秀であるがゆえに理解するハーディの奮闘記です。
雲の上で数学の神様と遊んでいるようなラマヌジャンに気づいて、山の上から地上へのはしごを掛けようとしているハーディが描かれます。
ラマヌジャンは独学で研究してきたために、数学の共通言語みたいなものを理解していないんですね。
大学教授たちと同じ結論を得ているのに、アカデミックな方法で説明する方法を知らない。むしろ、自分の出した公式は事実なのに、わざわざそれを証明する必要があるの?とさえ思っているラマヌジャン。
ハーディは不器用ながら『君の発見を真の発見にするためには、みんなに説明する必要があるんだ、そのために証明が必要なんだ』と伝え続けます。
数学一筋で結婚もしていない、数学しかないようなハーディ教授が、ラマヌジャンという人間のために自分の時間を使うのです。
ラマヌジャンの圧倒的な煌めきを理解できたが故に、それを後世に残すことが自分のすべきことだとしたんですね。
ハーディは真に数学に殉ずる人でした。
天才は早死にする
ラマヌジャンは33歳で夭折します。
ちょうど第一次世界大戦中にイギリスへ渡っていた彼は、戦時下に必要なだけの野菜を手に入れることができず、栄養失調から結核になってしまいます。
病気を知った彼は自棄になり自殺未遂を起こします。
そして落ち込む彼を励ますためにハーディが大活躍。
日常とは別次元の空間で分かり合えることができたために、過ごした時間に関係なく強い人間的な繋がりを持つことになった二人の友情が最高です。
『超天才×超天才を認め助ける天才』の物語が好きな人はぜひ見てください~。
ハーディ役のジェレミー・アイアンズがすごくいいです。
『えいがのおそ松さん』あらすじと感想。原点回帰の人生賛歌【ネタバレあり】
『えいがのおそ松さん』見ました~。
アニメ4割増しの芸の細かさ&原点(赤塚不二夫)回帰の人生賛歌という感じで、非常に面白かったです!
あらすじ
高校の同窓会に参加した六つ子だが、
ニートであることから冷ややかな視線にさらされていた。
帰宅後高校時代を思い出しやけ酒にひたる六つ子。
翌日目覚めると高校の卒業式前日に時間が巻き戻っていて......
六つ子の学生時代
- おそ松はおそ松
- チョロ松はヤバ真面目
- カラ松はおとなしめ
- 一松はリア充
- 十四松は不良
- トド松はリアル末っ子
という六つ子の高校生時代が描かれます。
楽しい。
高校生トド松がなんであのキャラクターだったのか、とかすごく想像の余地があります。
ちょっとダサめのアツシくんが登場したりして確信犯みがすごい。
過去のデカパンによると、
『誰かの後悔』がきっかけになって六つ子は過去に戻って来ています。
その後悔をなくすことで未来に戻ることができる!という。
そしてカラ松が、卒業式前日に『松野くんへ』と書かれた手紙を見つけていたことが分かります。
カラ松は兄弟に手紙の存在を伝えようとしますが、当時仲が悪かった六つ子は喧嘩の最中に手紙をなくしてしまいました。
カラ松だけがそのことをずっと後悔していたのです...。
誰の後悔によって六つ子は過去に戻ったのか
物語としては高橋さんに失くしてしまった手紙の内容を聞くという結末で終わります。
高橋さんは六つ子の隠れファンで、六つ子に対して(ファンとして)みんなが好きです!という手紙を書いていました。
物語のラストで、病床に伏している現在の高橋さんが映されます。
ゾウに追いかけられたハタ坊
デカパンいわく、六つ子たちがいる過去の世界とは『後悔している人間の記憶』です。
なのでタイムトリップを巻き起こした人間の記憶にないことは、過去の世界にも反映されません。
郵便局の郵が『(謎のもにゃもにゃ)便局』になっているのもそういう理由だと。
六つ子のなかで唯一大きな後悔を抱えていたのはカラ松で、高橋さんにもらった手紙を読めなかったことをずっと気に病んでいました。
ということから、タイムトリップを引き起こしてるのはカラ松だと六つ子たちは推理します。
なんですが、
カラ松は、卒業式前日にハタ坊がゾウに追いかけられたという事件を知らないんですね。
でも映画の冒頭でハタ坊がゾウに追いかけられてヘリコプターを墜落させるシーンが描かれています。
なので過去の世界はカラ松の記憶ではありません。
誰の記憶?
カラ松でも他の5人の記憶でもないとすれば、手紙の存在を知っているのは高橋さんになります。
なので六つ子たちは高橋さんの記憶の中にいる......
というわけでもありません。
おそ松たちは実際に過去に戻っていて、いつも通りトンデモ出来事が起きているだけ
これだと思います。
冒頭でバック・トゥ・ザ・フューチャーパロディがあることからも、六つ子が未来から来たことがバレそうになると世界が崩壊しかけるのです。
これは最後に未来から来た六つ子と撮った写真を、現在の高橋さんが持っていることから推測できます。
それだとだよーんの顔をあれこれできたのはなぜかとか、手紙が白紙だったのはなぜかなど謎は残るんですけどね!
(BTTFでドクに未来から来たことがバレたのに世界が崩壊しないのはなぜなんだろうという疑問が...。見直さないと)
原点回帰の人生賛歌
悩む高校生の彼らに「それでいいのだ」とおそ松たちが伝えます。
大ヒットアニメ『おそ松さん』の劇場版、もしかすると最終話にふさわしい映画でした。
おそ松さん面白かったです!
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』あらすじと感想。遭難したら沢を下るな【ネタバレあり】
疑似ドキュメンタリーホラーの先駆者的作品『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』見ました~。
疑似ドキュメンタリーとは、
実際にあった風のフィクション映画ですね。
今作は、ドキュメンタリー映画を撮るために魔女の森へ入った学生が遺したビデオが編集されたもの、という体になっています。
怖いので画像ひかえめです。
あらすじ
モンゴメリー大学映画学科所属のヘザー、ジョシュ、マイクは呪われた伝説の残る森に入っていきます。
子どもが殺されて川沿いに死体が並べられていた、その身体には緻密な紋様が刻まれていた、とか、狂人が「魔女のためにやった」と子どもを誘拐して殺す事件があったり、色々と恐ろしい話がある森なんですね。
そのブレア・ウィッチ(ブレアの魔女)伝説にまつわるドキュメンタリーとして撮ったビデオが映画になっています。
最初は買い出しにいく三人の姿。
街の人にブレア・ウィッチについてインタビューをする映像。
そしてついに魔女の森へ入っていきます。
撮影は二泊の予定。
初日から方向が分からなくなっているっぽいんですが、どうしても映画を撮りたいヘザーは「迷ってないわ。自分たちのいる場所は分かってる」と言い張ります。ジョシュとマイクも怪しみながらもヘザーを信用し、森を進みます。
そして一泊するのですが、テントの周りから何か声がします。
たくさんの人がいるような、気味の悪い一夜を明かす三人。
次の日、「迷ってないわよ~」「ほんとかよ」なんて言い合いながら、三人は奇妙に石が積み上げられている場所に辿り着きます。賽の河原のような、儀式的な雰囲気のする場所ですね。
紋様が記されていた子どもが見つかった場所でもあります。
彼らはまたそこで一夜を明かしますが、夜になると子どもの声や大勢の人間が走り回っているような音が聞こえるんですね。
人為的に積み上げられた石といい、誰かが三人を監視していることは明らかです。
そして、三日目、帰り道を歩いているはずが、なかなか車を停めた場所に辿りつきません。
ヘザーはついに道に迷っていることを認めます。
夜の声、音、積み上げられた石や人型に縛られた木の枝を見つけたことで、早く帰らないとヤバイと感じている三人は喧嘩になります。
一夜迎えるごとに、三人に襲いかかる怪異はどんどん迫ってきます。
こわい
怖いです。
あらすじ書いていても怖いです。
そもそもブレア・ウィッチの伝説というのがあって、1780年代に子どもの血を集めていた狂人がいたみたいです。
その魔女は死刑になったけど、その魔女が住んでいた森には数十年ごとに奇怪な事件が起きてるんですね。
そこに現代の大学生3人が「ドキュメンタリー撮るよ~」と踏み込んでいって、行方不明になるまでの記録、という本作。
怖っ。
道が分からなくなった彼らは南に向かってまっすぐ進むんですけど、また同じ河原に戻ってくるんですね。
不気味な事件のあった川に。
川をまっすぐ下ればいいんじゃない?と思ったんですが、アメリカって超大きいので川を下っても人里に辿りつくわけじゃないんだろうと思います。どれだけ歩いても森、というくらい大きな森。
遭難の可能性がある心霊スポットに行ってはいけない......。
遭難の恐怖
魔女の怪異の恐怖もあるんですが、遭難した人の残したビデオみたいで怖かったです。
子どもの声が聞こえたり、テントが揺らされたり、仲間が消えたり、食料がなくなったり、だんだん遭難が洒落にならなくなっていく感じが恐ろしかった。
今作はブレアウィッチが実在している怪物ホラーですが、ちょっと変えたら遭難の恐怖を描いた映画としても通じると思います。
ヘザーたちを襲う怪異はギリギリ幻覚や幻聴としても解釈できそうで、できません。
それでも鑑賞後まっさきに調べたのは「遭難したとき どうする」でした。
日本で遭難したときは、川を下ったり斜面を下ってはいけないみたいです。
理由は、
- 下った先は急斜面になっている可能性が高く危険だから。
- 登って尾根にいたほうが、救助隊が見つけやすいから。
遭難しそうな危険な場所にはいかない、遊び半分で心霊スポットにはいかないことが大事ですね。
スティーブン・キングは著作『死の舞踏』でブレア・ウィッチ・プロジェクトを絶賛していました。他にもキングおすすめホラーがたくさん紹介されています。
キングのホラーオタク語り本。おすすめ。
(今作は怖すぎて見るのを途中でやめたらしいです。)
『IT/イット THE END』あらすじと感想。ルーザーズの友情とピエロ【ネタバレなし】
こんにちは、カミオモト(@eigagel)です。
リメイク版IT後編こと
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』見ました~。
タイトル長いですね~。
原題のシンプルな不気味さを台無しにする邦題、嫌いじゃないです。
あらすじ
主人公ビルはIT(イット/それ)という正体不明のピエロに弟を殺された。
デブ、不良少女、神経症、ビビり、ゲイ、虚言癖の友人は学校中のはみ出し者で、自分たちをルーザーズ(負け犬たち)と呼んでいる。
27年周期でデリーに訪れる怪物ペニーワイズに狙われた彼らは、ペニーワイズに立ち向かう。
なんとかペニーワイズを倒し、ルーザーズはそれぞれの人生を歩み始めた。
そして27年後、過去の出来事を忘れていた彼らの元にデリーで多発する連続不審死の一報が入り......
仲間外れたちの物語
前編は12歳時代の話、後編は39歳になった彼らの同窓会的お話でした。
12歳のときに倒したはずの怪物が現われ、大人になったルーザーズはペニーワイズと闘います。
ペニーワイズは少年少女たちの抱える“恐怖”を具現化して彼らを怯えさせます。
ベバリーは父親から性的虐待を受けていることが示唆されていて、ペニーワイズはベバリーに対して“血”の幻覚を見せるんですね。
観客はペニーワイズの幻覚を通してルーザーズたちが現実で抱える恐怖を知っていきます。
虐待をする父親や、過干渉の母親、焼死した両親など、ペニーワイズが怖いというより恐ろしい現実のなかに元々ルーザーズは生きていたのです。
小学校で「なんか変なことをしていた子」って、そのときは意味が分からず変なやつと思っていたけれど、今になってみると何か事情があったんだろうなと思えるような子がけっこういます。
自分自身のことも含めて、思わず過去を振り返ってしまうような作品ですね。
そういう何かしらを抱えて仲間外れになっている子どもたちが出会い、ルーザーズ(負け犬たち)として怪物に立ち向かいます。
これはそのまま「仲間と一緒に自分の恐怖に立ち向かう」という寓話ですね。
後編では大人になった彼らが、幼い頃の友人と一緒に過去の恐怖と立ち向かいます。
ドクター・スリープの感想でも書きましたが、
スティーブン・キングは人生のホラーな部分とそこから拭いきれない愛情の部分を書く作家です。
スティーブン・キングの作品は恐怖を直視しながら希望を捨てません。
ペニーワイズ
90年代の初代ペニーワイズと今回のリメイク版ペニーワイズ、どちらが好きですか?
筆者は圧倒的に初代ペニーワイズが怖いですね!
好きなのはリメイク版です。
リメイク版は正直あんまり怖くないので、心底ゾッとしたい方は90年代『IT』をおすすめします。
画質の荒さ、CGじゃない演出がいい感じに怖いです。
あと初代ペニーワイズは本当に邪悪で不気味です。
『クレイジー・リッチ!』あらすじと感想。シンガポール版花より男子【ネタバレなし】
こんばんは、カミオモト(@eigagel)です。
今回はつき合っていた彼氏がシンガポールの超お金持ちだったという王道展開のお話。安心の面白さです。
何から何まで花より男子で懐かしい感じでした。
あらすじ
主人公レイチェル・チュウはアメリカで経済学の教授をしている。
彼氏はただのシンガポール人……のはずだった。
友人の結婚式でシンガーポールへ行ったレイチェルは彼氏の実家を見て驚愕する。
彼はシンガポール有数の不動産王の息子で、スーパー・リッチ・御曹司だったのだ。
家柄のないレイチェルは彼の母親、親族、彼を狙うお嬢様たちに壮絶なイジメを受ける。
しかし、親戚の中には彼女のことを好いて協力してくれる人もいて......
ほぼ花より男子。
レイチェルは母子家庭で、苦学しながら大学教授になった才女でした。
ですが御曹司彼氏の母親はレイチェルが家庭状況や家系が不透明なことを理由に彼女を嫌います。
それでも御曹司の親族でも随一の美貌と才能を持っている女性に気に入られ、VSお母様に協力してもらう流れなど、どっかで見たことある!!となること間違いなし。
学生時代の友人が実はシンガポールのプチお金持ちで、敵だらけの主人公の味方になったりも。
親戚がめちゃくちゃ多いというところ以外は花男なので安心して見れますし、安定して面白いです。
王道ラブコメ&中国系富裕層の自虐ネタ
お金持ち男子と庶民女子の恋愛は少女漫画の王道なんですかね。
家柄で人を判断するお金持ちたちの鼻を明かす庶民の物語は見ていて楽しいです。
やったれ!という気になるというか。
敵だらけの主人公に少数の味方ができる展開とかね。
親戚の中でも変わり者とされている人たちが主人公の本質を見てくれます。
中国系富裕層の自虐ネタやブラックジョークも面白いです。
中国系の人のジョークってどぎつくてそれを言ったらおしまいよみたいなところがあります。
イギリスやアメリカのブラックジョークとは違う感じ。
楽しくて笑える王道系&確実に面白い映画がみたいなーという方におすすめの作品でした。