『新感染 ファイナル・エクスプレス』のあらすじと感想。身を守るためなら差別も迫害だってする。【ネタバレあり】
『新感染 ファイナル・エクスプレス』見ました。
ゾンビ映画なんですけれども、感染疑惑のある人間を罵る、安全な部屋から締め出して見殺しにするなど、非常にタイムリーな映画です。
あらすじ
主人公のソグは敏腕ファンド・マネージャー(投資家からお金をもらって運用する人)。
10歳程の娘がいますが、仕事が忙しく歌の発表会にも行けません。娘の相手は実母に任せっきり。
別れた妻に会いに行きたいという娘を連れて久々に二人で出かけます。
発車した新幹線の窓から、ゾンビに襲われている人間を目撃する娘スアン。
二人の乗る新幹線にも、ゾンビが一人まぎれこんでいて……。
緻密に計算された高品質エンターテイメント
今作を一言でいうと よく出来てる ですね。
ゾンビは文句なしに気持ち悪いし怖いのでそこから逃げるスリルは満点です。
新幹線という閉鎖空間で自分だけは生き残ろうとする人間の醜さがあり、ゾンビ映画ですのでクソ野郎に対するカタルシスもしっかり味わえます。
さらにゾンビという共通の敵が立ちはだかることによって
マ・ドンソク(ワーキングクラスのいい男)
ソグ(冷血金融マン)
男子高校生(頼りない系。かわいい)
の共闘という私得の展開に。
マ・ドンソクがいい人。
冷血金融マンとその娘は生き残ることができるのか?
映画の序盤、主人公ソグはゾンビに追いかけられるマ・ドンソク夫婦を見捨て、ドアから締め出します。
なんとか生き残ったマ・ドンソク夫婦に責められますが、「自分を守るためには仕方ないじゃないか」と悪びれる様子もありません。
娘の前で平然と言ってのけるあたり、けっこうやばめ
冷血金融マンらしい主人公ですが、娘と離れ離れになってしまいます。
娘とマ・ドンソクの奥さんが同じ場所にいるということで、協力して助けに行くことに。
その過程で、一度見捨てたマ・ドンソクだったりホームレスだったりに助けられるんですね。
命からがら逃げた主人公たちに対して、安全な場所にいた乗車客たちは優しくない。
ちょっとお金持ちのおじさんには思いっきりドアを閉められ「感染者!出ていけ!」と安全な空間から締め出される。その他の生き残った人間は「はやく出てってよ!」と主人公や娘たちを罵り、自分のことしか考えていません。
妊娠中の奥さんや娘を助けに行った人にその仕打ち…。
主人公も同じことしてたけどね。
映画が進むにつれて、新幹線内のパンデミックではなく、韓国中でゾンビが暴れまわっていることが明かされます。
主人公と娘は母親のいるプサンへ向かいますが、新幹線から下りたところで安全な場所があるのかも分からない。主人公親子はどうなってしまうのか、物語の最後まで引きつけられました......。
まんまと泣いた
娘のためになりふり構わず闘うお父さん、最後に人間性の意地を見せて脱落していく仲間たちに泣きました。
面白かった。
インド映画は喜怒哀楽の全部が詰められているという意味で「マサラムービー」と呼ばれますが、この映画もそんな感じでした。
文句なしのエンタメの中に暴力と不快とやりきれない共感が入っています。
あとは俳優さんたちが美しくてとにかくスタイル抜群でした。
韓国映画の名作、ぜひ見てみてください~